株式会社ティビダボ 創立者 石井正太氏 / 石川恵理香氏
『「AIだから導入する」ではない』

AIを活用したサービス開発から、企業へのAI導入コンサルティングも行いつつ、AI人材の育成事業を拡大するTIBIDABO石井氏、石川氏。AIの第一人者であるお二人に、AIを活用したビジネスの現状の課題や、デジタル人材に求められるスキルについて伺いました。

 

―AI事業と、AI人材育成に携わるようになったきっかけについて

 

石井氏(以下敬称略):

サンフランシスコでAIの研究機関の立ち上げに参画していました。金融におけるAIの応用を専門分野としていますが、当時は短期のトレーディングなどを目的にしたものが主流であり、私が興味を持っていた長期投資に適用できるAIがありませんでした。そこでTIBIDABOを設立し、AI開発チームを作ろうとしたのですが、なかなか適材が集まらない。そこで、集まらないなら人を育てようと思い、事業としてAI人材育成を行うことになりました。

 

石川氏(以下敬称略):

16歳の時に渡米し、起業してサーバー運用や、インフラ整備の仕事をしていました。その後のスキルアップとして、体系的にエンタープライズの事業を経験するため、コンサルファームに就職しました。コンサルティングを行う中で、自分のエッジとなる強みを作りたいと思い、IBMに参画し、当時AIの黎明期だったワトソンを担当しました。それがAIに携わるようになったきっかけです。

AI人材は大きくエンジニアや研究者といわれる技術者と、ビジネスの視点からソリューションを提案するコンサルタントの2種類に分かれます。コンサルタントは技術を理解していない人が多く、一方技術者でビジネス要件を理解する人も少ない。この間をとる、例えばデータサイエンティストといわれる人は、日本に500人くらいしかいません。

これほど人材が不足しているなら、自分が育成する側になろうと、石井とスクール事業を始めました。

 

石井:

技術の視点から話すと、一口に技術といってもハードウェア、アルゴリズム、統計学、プログラミングと幅広い。ハードウェアの理解、クラウドの選定、どれくらいの規模のデータ量に対し、適切な機材の選定、その保管方法など・・。チームを組むディレクターは、特に全般的な理解が必要です。

 

石川:

ビジネス視点では、それらの技術が適合したときの費用対効果や、なにをKPIとして定めるとよいかという観点が必要です。

例えば、チャットボット導入の事例で、あるチームから提案された700万円のプロジェクトを実行した企業がありました。しかし、話を伺ったところ、実は15万円で実現できることがわかりました。AIスクールでは、CEOやCOOなどのCXOクラスの方や、マネジメント層に向けて、きちんとした知識を得て、ソリューションに見合ったコスト感覚を持ってもらうことも一つの目的です。

石井:

AIというだけで、流行もあるので、プロジェクトに予算が付きやすい。ですが、その実際の内訳はざっくりしていることが多々あります。安易に取り入れると、払ったコストのわりに精度が高くないモデルができてしまったり、想定するソリューションになるまでのデータ収集でコストがかかり、現実的でない費用になってしまったりということが往々にして起こります。費用対効果を見極める感覚が必要です。

―どんな事業領域で導入事例がありますか?

 

石川:

ガバメント、金融、保険、製造、メディアなど、導入先は多種多様です。いずれにおいても、AI導入を検討される案件で重要なのは、AIありきではなく、課題ありきでAIの導入を検討することです。課題を分析したのち、自然言語処理等の技術を当てはめていきますが、特に日本は紙社会なので、まず分析できる状態にデータをそろえるという課題が発生します。実は案件の半数はこのようなデータガバナンスで完結しています。つまり、高度なAIを導入したものの、実際に求められていたのは、データを整理して、キーワード検索が円滑に行われることだったといった内容です。

 

石井:

どの業界でAIが適応されるかという質問は、どの業界に電気が必要とされるかという質問と同じようなことです。電気って、どんな産業にとっても必要じゃないですか。AIも同じです。つまり、どんな業界にも適応されるということです。ただ、使い道がまだ理解されておらず、それがネックでもあり、技術者やコンサルタントにとってのビジネスチャンスでもあります。あえて言うなら、データ量が多い業界のほうがAIの価値を出しやすいので、製薬業や、小売業などで取り組みが進んでいると思います。

 

また、AI技術もオープン化され、無料で、どんどん使いやすくなっています。今後は、例えばエクセルの中にAIが組み込まれてもおかしくないと思います。そういった、既存のソリューションが充実してきているので、実は、研究者のような非常に高度な知識をもつ人材を雇わなければいけないユースケースは、ほぼなくなってきています。

 

石川:

研究者と進めるプロジェクトの例としては、IBMが行っている、がん治療の研究です。研究内容を自然言語処理等で分析し、早期発見・治療を目指すという内容です。よくAI案件として依頼があるオペレーターの業務削減、議事録の自動化などは、AIの導入よりも、ビジネス課題をどう解決するかというところに焦点を当てるべき案件です。

―デジタル人材に求めるスキルは?

 

石川:

欲を言えば、クラウドコンピューティング、インフラ、統計学の基礎、AI高度分析モデルの理解、論理思考、コミュニケーション、ニーズ分析といったコンサルティングスキル、そのほか理数系の基礎、プログラミング、Python、Rなどのベーシックなプログラミングスキルに加え、多くの情報は海外論文を参照するので英語も使える必要がある。でも、そんな人はなかなかいません。

なので、これらの知識を部分的に持つ人たちで役割分担し、チームで取り組むのがいいのではと思っています。

実際にこれらのスキルをマスターしようと思えば、2~3年で可能です。

 

石井:

素質でいえば、業界の動きを敏感に察知して、何事も自分で調べられる人であることは重要です。AIの業界は進歩が早いので、分からないことがしょっちゅうでてきます。その時、分かる人を見つけられる、どこに行けば情報が得られるかを調べられることは一つの能力です。ツールが使いやすくなるにつれ技術を扱える専門家は増えてきているのですが、プロジェクトを俯瞰して、専門家を活かせる人の層がまだまだ浅いです。

石川:

プロジェクトでかかわる以上、自分が100%知っておかなければという責任感をもって、毎日調査できる人でなければ、コンサルであれ、デジタルであれ、フィット感はないと思います。これは、ポテンシャルというよりも、その人の意欲の問題です。

必要な人にアクセスできる仕組み作りのため、人材もオープン化するべきです。

例えば日本の教育システムや研究機関は閉鎖的なのに対し、欧米では大学同士の情報交換が盛んだったり、グーグルに代表されるように情報を無料で開放化したりする動きがあります。人材に関しても、必要な情報・スキルをオープン化してうまく共有できるよう、業界全体を見渡す力も必要だと思います。

 

 

 

【プロフィール】

 

石井 正太氏

 

長期投資に有用な人工知能開発に着手するため、2017年に(株)ティビダボを設立。金融におけるAI(人工知能)の応用を専門とする。また、AIアプリケーション開発、AI人材育成事業も2018年に開始。以前は2014年にステート・ストリート・グローバル・エクスチェンジ(SSGX)のマネージング・ディレクターとしてサンフランシスコの GX Labs 創立に参画し、機械学習を活用した次世代ポートフォリオ解析エンジンやリスク指標の研究開発と新規事業展開に携わる。ステート・ストリート以前は、システマティック・クレジット運用に特化した米DCI社や、新生銀行の財務戦略部のコンサルタントとしての経験もある。また定量的クレジット・モデルに特化したKMV社(現ムーディーズ・アナリティクス)では、日本以外のアジア地域営業及びアドバイザリー事業のリージョナル・マネジャーとして従事。同社サンフランシスコ・オフィスでは、研究部門の一員としてクレジットリスクの研究を行う。テクノロジー関連では、2007年にフランスで知識共有用ソーシャル・ネットワークのITベンチャー企業を買収し、CEOに就任。2000年コーネル大学応用物理学科にて学士、2006年にINSEADにてMBAを取得。

 

 

 

石川 恵理香氏

ITコンサルティング企業2社起業、外資系デジタルプロダクト企業にてアドバンスト・テクノロジーR&D、外資系コンサルティングファームにてデジタルマーケティング、外資系SI企業のグローバルコンサルティング部門でアドバンスト・アナリティクスおよびAI・コグニティブ・プロセス・トランスフォーメーション事業部等に従事。金融、情報通信、製薬、テクノロジー企業向けを中心としたデジタルマーケティングの戦略・ITアドバイザリー、IBM社Watsonを活用したコグニティブ・ソリューションの提供、デジタル・トランスフォーメーション支援など戦略ITコンサルティング経験が豊富。ハーバード大学大学院IT学部修士課程修了、マサチューセッツ工科大学スローンビジネススクールAIビジネス適用認定資格、マサチューセッツ工科大学データサイエンス認定資格、マサチューセッツ工科大学ビッグデータ認定資格等保有。

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